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ヒメゴト〜十九歳の制服 ネタバレ感想 峰浪りょう作

峰浪りょう作の「ヒメゴト〜十九歳の制服」のネタバレレビューです。一言で言うと、男女のアイデンティティーをめぐり、悩める三人の十九歳の物語。

全8巻完結作品なので、最後まで読めます。

悩める19歳たちの自我

この物語に出てくる三人の19歳の男女。少年少女と呼ぶには年をとっていて、かといって、大人と言えるほど成熟もしていない。

ひとりは、女性になることを無意識のうちに拒んでいる女の子。
ひとりは、大人になることが怖い、男嫌いの女の子。
最後のひとりは、かわいい女の子になりたいけど、体は男の子。


生まれながらに押し付けられる、「女らしさ」と「男らしさ」。自分で自分のアイデンティティーをつかみとりたい、という抵抗が彼らの中にあったのかもしれません。

由樹と未果子の関係は

未果子は、男が嫌いで見下しています。そして見下すためだけにエンコーをしています。だから彼女が男を好きになることはなく、「少年のような少女」である由樹に恋をしたのは、必然の流れであると言えました。


由樹を男たちの毒牙から守るため、今のままの少年の心をもつ由樹でいてもらうために、未果子はありとあらゆる手段で、由樹を守ろうとします。もっとも、その守り方は独善的で、由樹にとってははた迷惑でしたありませんでした。

由樹とカイトの関係

カイトは作中で、初めて由樹の女性としての魅力に気づく人間です。たとえ少年のようにふるまい、男のような言葉を話していても、自分のように女の格好をしているだけの男には醸し出せない、生の女性の匂いがします。


ですが、彼は当初、未果子に心酔しており、由樹とはただの「女友達」。由樹はカイトのことを、肉体的に惹かれるほど好きになっていきますが・・・カイトは由樹との関係が居心地よくて壊したくなくなってしまうんですね。あやうい均衡を保ったまま、「女友達」の境界線を守り続けます。

どのキャラクターも、個性が強くてつぎにどんな展開になるのだろうと、ワクワクしながら読み進めました。コンプレックスと、純粋な思い。

十九歳だった頃を思い出しながら、読んでみてはいかがでしょうか?